top of page
自称独立国家事例


世界の自称独立国家⑧ テレビ局が作った国、ヴィケスランド王国
建国:2005年7月(ヴィケスランド公国として) / 場所:カナダ・マニトバ州ブランドン近郊 / 初代国王:クリストファー1世(クリストファー・ベイエット) / 解散:2018年4月 カナダのテレビ局CHUMでニュースカメラマンとして働くクリストファー・ベイエットは、2005年、ドキュメンタリー映画の企画を思いついた。 テーマは「ミクロネーション」——世界中に存在する自称独立国家の不思議な人々を追う映像作品だ。カメラマンとして長年培ってきた技術で、この奇妙な世界を記録しようと考えた。 企画を進めるうちに、彼は気づいた。ミクロネーションを取材するなら、自分でもミクロネーションを作ってみるべきではないか。内側からわかることがあるはずだ——。 こうして2005年7月、ベイエットはカナダ・マニトバ州の牧場に「ヴィケスランド公国(Principality of Vikesland)」を建国し、「クリストファー公1世」に就任した。 ドキュメンタリーは結局、完成しなかった。しかし国は、完成した。そして彼は気づけば13年間、国王であり続けた。...
読了時間: 6分


世界の自称独立国家⑦ 日本のアニメにも登場した、ワイ公国
建国:2004年11月15日(ワイの日) / 場所:オーストラリア・シドニー近郊モスマン区 / 現元首:ポール・アシュトン・デルプラ(ポール1世) 1993年、シドニー郊外モスマンに住む芸術家ポール・デルプラは、地元の行政に一通の申請書を提出した。 内容はシンプルだった。「家の敷地に続く未舗装道路を、車が通れるよう整備する許可をください」。 翌年も、翌々年も、さらにその翌年も、彼は申請を続けた。拒否され、訂正を求められ、再申請し、また却下された。行政はミスを認め、やり直しを約束し、そしてまた遅延した。気がつけば10年が経っていた。 2004年11月、デルプラは決断した。もうこの自治体のルールに従う必要はない。ならば——独立するしかない。 こうして生まれたのがワイ公国(Principality of Wy)だ。原因は革命でも、理念でも、抗議でもなく、「車道一本」だった。 44年前に描いた「王子の肖像」 話の起点は、実は1960年まで遡る。 18歳のポール・デルプラは、「ワイの王子(Prince of Wy)」と題した自画像を描いた。深紅のカーテンを
読了時間: 5分


世界の自称独立国家⑥ カナダ史上最大の洪水がきっかけで生まれた国、ランス・サン・ジャン王国
建国:1997年1月21日(住民投票) / 場所:カナダ・ケベック州ランス・サン・ジャン / 初代国王:ドニ1世(ドニ・トランブレ) 1997年1月21日、カナダ・ケベック州の小さな村で、住民たちは投票用紙を手に取った。 問いはシンプルだった。「この村を王国にしますか?」 73.9%が「はい」と答えた。こうして人口1,000人あまりの村・ランス・サン・ジャンは、北米大陸初の「自治体君主制(municipal monarchy)」となり、アーティストのドニ・トランブレが「ドニ1世」として王位に就いた。 ミクロネーションの歴史を振り返っても、住民の民主的な投票によって誕生した王国というのは、ほとんど前例がない。一人の人物が「俺が王だ」と宣言するのではなく、村人が集まって「王様を選ぼう」と決めた——そのユニークさが、この国の最大の魅力だ。 サグネ川の洪水が村を変えた ランス・サン・ジャンを語るには、1996年の夏に遡らなければならない。 1996年7月19〜20日、ケベック州サグネ=ラック・サン・ジャン地域を壊滅的な洪水が襲った。20世紀カナダ史上最大
読了時間: 5分


世界の自称独立国家⑤ 球体の国、クーゲルムーゲル共和国
建国:1976年12月19日 / 場所:オーストリア・ウィーン市プラーター公園 / 現元首:リンダ・トライバー大統領 ウィーンのプラーター公園を歩いていると、観覧車の足元あたりに奇妙な光景が現れる。 直径8メートルほどの球体の建物が、有刺鉄線のフェンスに囲まれて鎮座している。オレンジ色の外壁には無数の標識が貼り付けられ、主張が書き連ねられている。近づいてみると、フェンスには「国境」を示す看板があり、入口らしき場所には「クーゲルムーゲル共和国(Republik Kugelmugel)」と書かれている。 これは国だ、と看板は言っている。オーストリアのど真ん中に、オーストリアの法律を拒否した独立国がある。領土は球体一個分。面積は94平方メートル。世界でも指折りの「小さな国」が、今日もウィーン市民の散歩コースのそばで静かに存在し続けている。 球体は「二次元空間における定常曲線」である 話は1971年、オーストリアのニーダーエスタライヒ州カッツェルスドルフに始まる。 芸術家のエドヴィン・リップブルガーは、息子のニコラウスとともに、球体の建物を建設した。直径
読了時間: 5分


世界の自称独立国家④ タコスのためなら速度超過を許す国、スロージャマスタン人民共和国
建国:2021年12月1日 / 場所:アメリカ・カリフォルニア州インペリアル郡 / 元首:スルタン・ランディ・ウィリアムズ 世界に196の国がある。国連に加盟しているのはそのうち193か国だ。 サンディエゴのラジオDJ、ランディ「R-Dub」ウィリアムズは、その193か国すべてを自分の足で旅した男だ。北朝鮮にも行った。南極にも行った。どんな辺境にも飛んでいった。そして世界の隅々まで見た末に、彼が出した結論はこうだ。 「じゃあ、自分で国を作ろう」 こうして2021年12月、カリフォルニア州の砂漠に11エーカー(約4.5ヘクタール)の土地が購入され、スロージャマスタン人民共和国(Republic of Slowjamastan)が誕生した。憲法が制定され、通貨が発行され、国旗が掲揚された。そして国の法律として真っ先に定められたのが——クロックス(Crocs)の着用禁止だった。 193か国を旅した男が、194番目を作った ランディ・ウィリアムズは1976年生まれ。サンディエゴのラジオ局でプログラミングディレクターを務め、「Sunday Night Sl
読了時間: 6分


世界の自称独立国家③ ビートルズが弟子入りした人が創設者、世界平和国
建国:2000年10月7日 / 場所:国境なし・世界全土 / 現元首:トニー・ネイダー博士 「国境のない国」という言葉がある。比喩として使われることが多いが、これを文字通り実行に移した人物がいる。 マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー。超越瞑想(TM)の創始者にして、かつてビートルズが弟子入りを求めてインドまで会いに行った精神的指導者だ。2000年10月7日、彼は「世界平和国(Global Country of World Peace)」の建国を宣言した。領土はない。国境もない。しかし独自の通貨を発行し、国王を戴き、120カ国以上に1,200を超える「大使館」を持つ。 これは国家なのか、宗教団体なのか、それとも壮大な理想主義のパフォーマンスなのか。その問いへの答えは、この国を知れば知るほど、複雑になっていく。 ビートルズが弟子入りした男 世界平和国を理解するには、その創始者を知らなければならない。 マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは、1918年頃にインドで生まれた(正確な生年は不明)。ヒンドゥー教の伝統的な瞑想法を現代に応用し、1957年に「超越瞑想(T
読了時間: 6分


世界の自称独立国家② 14歳の少年が寝室で建てた国、タロッサ王国
建国:1979年12月26日 / 場所:アメリカ・ウィスコンシン州ミルウォーキー / 現元首:チェク1世 「国をつくる」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。広大な土地、軍隊、革命、宣言。そういうドラマチックなものを想像するかもしれない。 しかしタロッサ王国の建国はもっと静かだった。1979年の冬、ウィスコンシン州ミルウォーキーに住む14歳の少年が、自分の寝室を「独立国家」と宣言した。それだけだ。 その国は今も存在する。45年以上が経った今も、選挙が行われ、法律が制定され、独自の言語が話され、200人以上の「国民」がいる。 悲しみの中で生まれた国 建国の日は1979年12月26日——クリスマスの翌日。ロバート・ベン・マディソン少年が国を宣言したのは、母親が亡くなってまもない頃のことだった。 深い悲しみの中で、彼は何を思ってこの行動を取ったのか。記録は多くを語らない。ただ、歴史好きで言語に興味を持ち、政治や文化に夢想を抱いていた少年が、自分だけの世界を作ろうとしたことは確かだ。 国名は「タロッサ(Talossa)」。フィンランド語で「家の中」という意
読了時間: 5分


世界の自称独立国家① 北海の廃要塞に生まれた国、シーランド公国
建国:1967年9月2日 / 場所:イギリス・サフォーク州沖10km / 現元首:マイケル公 北海の灰色の海面から、鉄の脚が2本、空に向かってそびえている。その上に乗っかった小さなプラットフォーム——面積わずか約550平方メートル——が、れっきとした(自称)独立国家である。 シーランド公国。ミクロネーションの世界で「最も有名な国」といえば、まず名前が挙がるのがここだ。国旗があり、憲法があり、パスポートがあり、通貨がある。そして何より、建国から半世紀以上を経た今もなお、現役で「存在し続けている」。 生まれは戦争、舞台は廃要塞 この国の「領土」の正体は、第二次世界大戦中にイギリス海軍が建設した海上要塞「フォート・ラフス」だ。1942年に建造され、戦時中は150〜300名もの海軍兵員が常駐し、ドイツ軍の航空機や潜水艦から沿岸を守り続けた。しかし戦争が終わると、その役目を終えた鉄の塔は静かに打ち捨てられた。1956年、イギリス軍は正式に撤収。北海の荒波に揺れる廃要塞は、長い間、誰のものでもない場所として漂い続けた。その「無主の海」に目をつけた男がいた。.
読了時間: 4分


ミクロネーションとは? - 地図に載らない国
世界にはいくつの国があるだろうか。 外務省によれば、日本が正式に承認している国は196か国。しかしそれとは別に、地図に載ることのない「国」が世界中に存在している。国連にも加盟できず、どの国からも正式には認められていないのに、「ここは独立国家だ」と宣言し、国旗を掲げ、通貨を発行し、国民を募っている人たちがいる。 そういう自称独立国家をミクロネーション(Micronation)という。 独立国家は世界中に点在している ミクロネーションの定義 ミクロネーションとは、独立国家であると自称しているものの、国連や各国政府から正式に承認されていない実体のことをいう。「ミクロ国家」「自称国家」「モデル・カントリー」などとも呼ばれる。 国家が成立するには一般的に「領土・国民・主権」の三要素が必要とされている。ドイツの法学者ゲオルグ・イェリネックが整理したこの条件をクリアし、独立宣言さえ行えば、理論上は誰でも国を「つくる」ことができ、「建国すること」自体を禁じる法律はない。もちろん他国から認められるかは別の話だが。 ミクロネーションに共通する特徴として、次の点が挙げ
読了時間: 6分
bottom of page